男子第67回大会の記事

倉敷 初V

1位でフィニッシュする倉敷の名合治紀選手
1位でフィニッシュする倉敷の名合治紀選手
 倉敷(岡山)が大会歴代5位の2時間2分34秒の好タイムで、大会史上最長となる39年連続39回目の出場で悲願の初優勝を果たした。男子としては岡山勢初の日本一となった。
 倉敷は4区で前田がトップに立つと、2位の佐久長聖(長野)を一気に引き離して逃げ切った。2区で21秒あった首位・佐久長聖との差を、3区のムァゥラが2秒まで縮めて前田の逆転につなげた。5区は急きょ投入した畝歩、6区は万全ではない北野が安定したレース運びを見せ、アンカーの名合も追随を許さなかった。佐久長聖は3区までトップを維持したが、4区で倉敷に1分以上離されたのが誤算。3連覇を狙った世羅(広島)は出だしでつまずき、7位にとどまった。

■ レース評

連続出場39回目で成就

4区2.2キロ付近で佐久長聖の本間敬大(右)を引き離す倉敷の前田舜
4区2.2キロ付近で佐久長聖の本間敬大(右)を引き離す倉敷の前田舜
 39年つないできた先輩の期待を背負い、倉敷のアンカー・名合がゴールテープを切った。優勝インタビューで「39年も続いてきた目標がやっと達成できた。感無量です」と笑顔を見せた勝又監督。夕日に照らされた表情が一層輝いた。
 5区の選手を直前に故障で入れ替え、6区の北野も本調子ではなかった。そんな不安を振り払ったのが4区・前田だ。3区の留学生・ムァゥラでトップに立って貯金を作りたかったが、たすきを受けたのは首位の佐久長聖と2秒差の2位。しかし「後半で楽に走ってもらうためにも、ここで勝負を決める」と覚悟した前田の走りは、力強かった。
 2キロの上りで前に出ると、下りでギアを上げた。早めの仕掛けで主導権を握ると、中間点から差を広げた。追われる立場を想定し、一人でレースを引っ張る練習を繰り返してきた成果が生きた形だ。「ハイペースでもこのまま押し通す」と、最後は1分以上の差をつける快走。十分な貯金で勝利を決定づけた。
 2年前の屈辱を忘れることはなかった。前田が1年生ながら1区を任されたが、体調不良で区間56位と失速。チームも過去最低の53位に終わった。寮の食堂に当時の惨敗を伝える新聞記事を貼り、悔しさを胸に焼き付けた。今年の目標である「優勝」も、各自が口外せず心に秘めた。「どんなに結果が出ても、油断できなかった」と主将の畝拓。慢心を打ち消したすきのないチームが、一丸となって悲願の頂点に上り詰めた。【浅妻博之】

◎ トピックス

進む高速化 目標に応える指導必要

 男子は倉敷が歴代5位の好タイムで優勝した。昨年は世羅が大会新記録で制覇。歴代5傑は全て2003年以降の記録で、高速化の流れは続いていると実感した。
 出場校の監督たちと会話を交わすと、世界で戦う上で高速化を歓迎する声や、故障や燃え尽きを懸念する意見が大半だった。その中で、初出場で44位だった女子の鳥取城北・下浦研二監督(26)の言葉が心に残った。
 「陸上は高校までと決めている選手もいる。今を全力で取り組む生徒のために指導してもいいのでは」
 大学や実業団に進めるエリートはごくわずか。鳥取城北も3年生3人のうち、卒業後も競技を続けるのは1人だけという。
 勝負のためにやみくもに走らせ、選手生命を絶つのは論外だ。ただ不確かな伸びしろに気を取られ、過度に練習をセーブすれば「一生に一度」の選手の努力機会を奪いかねない。目標は選手によってさまざま。それを踏まえてさじ加減を見極め、選手の目標に最大限応えることが指導者の役割だ。
 2区を走った鳥取城北の角谷(3年)は専門学校に進学予定で、陸上は続けないという。「頑張った分、結果がついてくるのが分かった。そういう経験は大人になっても生かせる」。悔しさで目を赤くする角谷だったが、その顔は充実感に包まれていた。【新井隆一】

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